1.「人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)」について

企業の持続的発展のため、新製品の製造や新サービスの提供等により新たな分野に展開する、または、デジタル・グリーンといった成長分野の技術を取り入れ業務の効率化を図るため、「既存事業にとらわれず、新規事業の立ち上げ等の事業展開に伴う人材育成」「業務の効率化や脱炭素化などに取り組むため、デジタル・グリーン化に対応した人材の育成」に取り組む事業主を対象に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部を高率助成により支援する制度です。

新たな「事業展開」とは、例えば・・・

•新商品や新サービスの開発、製造、提供又は販売を開始する

•日本料理店が、フランス料理店を新たに開業する

•繊維業を営む事業主が、医療機器の製造等、医療分野の事業を新たに開始する

•料理教室を経営していたが、オンラインサービスを新たに提供する 等

「デジタル・DX化」とは、例えば・・・

•ITツールの活用や電子契約システムを導入し、社内のペーパーレス化を進める

•アプリを開発し、顧客が待ち時間を見えるようにする

•顔認証やQRコード等によるチェックインサービスを導入し手続きを簡略化する 等

「グリーン・カーボンニュートラル化」とは、例えば・・・

•農薬散布にトラクターを使用していたが、ドローンを導入する

•風力発電機や太陽光パネルを導入する 等

2.助成金の対象と助成率・助成額

助成金の対象

下記の基本要件に該当する「訓練」の経費と受講者の賃金について助成金が支給されます。

<基本要件>

・新たな分野で必要となる専門的な知識及び技能を習得させるための「訓練」もしくは、企業内のDX化・カーボンニュートラル化を進めるために必要となる知識及び技能を習得させるための「訓練」であること

・OFF-JT(企業の事業活動と区別して行われる訓練)であること

・実訓練時間数が10時間以上であること

助成金の助成率と助成額(中小企業の場合)

・訓練の経費(講師への謝金や訓練の受講料など)について 75%

・受講者の賃金(訓練期間中の所定労働時間内賃金)について
 1人1時間につき960円

受講者1人あたりの経費助成限度額

訓練時間数 1人あたりの限度額
10時間以上100時間未満 30万円
100時間以上200時間未満 40万円
200時間以上 50万円
*金額は中小企業の場合
*1事業所1年度あたりの助成限度額  1億円

3.助成金受給の基本的な流れ

Step1 事業内計画の作成等

•「職業能力開発推進者」を選任

•「事業内職業能力開発計画」を作成

Step2 計画届の申請

•「訓練実施計画届」と「年間職業能力開発計画」を作成し、訓練開始の1か月前まで(厳守)に都道府県労働局に提出

Step3 訓練の実施

•「訓練実施計画」と「年間職業能力開発計画」に基づき、訓練を実施

Step4 支給申請

•訓練終了日の翌日起算で2か月以内(厳守)に「支給申請書」と必要書類を労働局に提出

<助成金受給のためのポイントと留意点>

・「職業能力開発推進者」は、教育訓練部門や人事・労務部門の責任者など、職業能力開発について権限を有する人を1人以上選任することが必要です。

・「事業内職業能力開発計画」は、人材育成の基本的な会社方針等を記載する計画で、経営理念や経営方針に基づいて作成することが必要です。

・助成金の対象となる「訓練」は、事業場内訓練(事業主が企画し主催するもの)、事業外訓練(事業主以外の者が企画し主催するもの)いずれも対象となりますが、対象になる経費・賃金については事前に都道府県労働局に確認されることをお勧めします。

・この助成金は、事業主が雇用保険適用事業所の事業主であること、訓練の受講者が雇用保険の被保険者であることが必要です。

4.人材開発支援助成金の活用具体例

~事業展開等リスキリング支援コースを利用した飲食業の場合~

・カフェの開業に向け、カフェ開業講座10日間コース(OFF-JT)を社員5名が受講。

・訓練内容:「カフェ開業講座」集合研修(OFF-JT)訓練期間10日間(1日8時間×10日=80時間)

・訓練費用:入学金:1万円×5人=5万円

 受講費用:12万円×5人=60万円

 合計:65万円

助成金:訓練費用65万円×75%=48.75万円

    訓練期間賃金80時間×960円×5人=38.4万円

    合計 87.15万円の助成金を受給。

人材開発支援助成金の詳細について(厚生労働省)

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/part_haken/jigyounushi/career.html

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